Web活用備忘録

実績を語るな。

2009 年 5 月 7 日

アイタス石川こんにちは。石川です。


アイタスという会社は完全独立系なので、良くも悪くもたとえば親会社や系列から仕事が回ってくるといったことはありません。

国・北海道・札幌市が保護しなければならないような会社ではないので、勝手に好きなことやって、業績伸ばすなり倒産するなり、どうぞご自由にと言われます。

客観的に状況見ればつぶれたほうが皆のためなのに「地域経済のこと考えたらアイタスさんつぶせない><」とか阿呆な話が出て署名が集まるというヘンテコなことにはなりません。

自由です。


Webサイト制作業界では、アプリ操作の初歩を覚えると、なぜかフリーランスになるおっちょこちょいが後から後から沸いてきますが、フリーランスとは、その人自身がフリーなのではなく、その人に対してまわりがなにもケアしなくてもフリー、その人に仕事を出すも出さないも客側の自由という意味なのです。

独立前の(金銭的・スキル的・人脈的・社会常識や慣習の習得・etc…な)蓄積を食いつぶした後、通常は2年目3年目以降もフリーランスとして生き残っている人は、この「自分が困ろうが誰も助けてくれない」という自由っぷりが身にしみているので、さまざまな面での恒常的な努力を怠りません。

あえて叱ってくれる奇特な人もいない(フリーランスに対して叱る責務を持つ人はいない)ゆえ、多くは自分のウィークポイントに気づかず、自滅します。

フリーランスで生き残る人は「もう、この仕事がおわったら、どこからも二度と依頼は無いかもしれない」と不安になり、その不安を払拭するために、自分ができるあらゆることをやるタイプです。

これらフリーランスの特性は、当社アイタスにおいてもまったく同一です。

ついでに地続きで述べると、本質的にはフリーランスであろうが雇われであろうが変わりありません。そこに自覚的な人は雇われ続けられますし、無自覚な人は切られます。


前置きが長くなりました。以下、続・前置きです。


「アイタスに仕事を依頼するもしないも客の自由」というゲームルールの中で、いかに仕事をつくるか・仕事を取るかが当社のやっていることです(どこの会社・どのような形態で仕事しているかによらず個人でもそうなんだけどさ)。

その「仕事をつくる・取る」目的に対して有効なカードのひとつが「実績」ではあります。

  • 学校サイト、結構つくってます
  • 代表のイシカワが勤め人時代からその方面に携わっているので、観光関連強いです
  • CMS、それもオーダーメードのLAMP開発からMovable TypeやWordPressを活用するものまで、実績多数です
  • 自治体・公的機関のサイトもやってます

とかね。

でも、これらは「アイタスのこと」であって、まだ一言も「依頼主のこと」にはなっていません。

こういうカードの使いかたは愚策。

自分たちのことではなく、相手のことを話題にしないと。


つまり

「貴校のサイトは旧来ライクなままで、CMS化されておらず、ASAPな情報更新が難しい状態にあります。数年かけてどんどん情報を蓄積してきた結果、建て増し旅館のようなサイト構造になっており、第一のターゲットとする受験者が情報をスムーズに探せない状況が生まれています」

「そこで、まずはシステム担当者でなくても情報更新が可能となるCMSを導入しましょう。その前段階として、現況サイトに掲載している情報の整理・サイトの再構成に取りかかりましょう」

といった「相手のこと」を主軸にし、その根拠・裏付けとして

「当社では過去にこのような実績がありまして、今回ご提案する上記内容、安心してお任せいただけます」

と「自分のこと」を材料として用います。

これがオーソドックスなカードの切りかた。


どこの馬の骨とも知らないアイタスのことなんて、誰も興味ありません。

客が興味あるのは、自分のこと。自分のメリットです。

「自分のことを語るな。客のことを話せ」ということです。

その客のベネフィットに対して、どれだけ確度の高い裏付けを持っているかが、客の知りたい・聞きたいことです。

そのひとつとなる(かもしれない)のが、自分たちのこれまでやってきたこと。実績。

要は主語と話の順序が大切だよと。


ここまで前置きです。以下本題。


現在、当社ではハローワークに営業職募集の求人を出しています。

多くのご応募を頂いているのですが、ほとんどの人は自分のことを一所懸命アピールしています。

「こういう実績があります」「こういう仕事をしてきました」。

ぶっちゃけ、まったく興味がありません。


私がお約束で次に切り出さなければならないのは

「おぉ、すばらしいご経歴ですね。ところで、当社ではどのような営業展開をお考えですか? それを踏まえて、あなたを採用すると、当社は具体的にどのような売上・利益を見込めますか?」

といったところです。

そうすると、ほとんどの人は沈黙します。


アイタスでの日常は「客への提案」なので、それより何段階も難易度が低い就活において提案できないのであれば、たぶんムリです。

※繰り返しになりますが、それは当社に限ったことでは無いのですが。

長年社長業をやっている私の実感として、相手の話をせず自分語りに終始する人ほど仕事で使いものになりません。

これまでの実績や経歴は、今後、どこの分野・業界・会社・個人においても切り札にはなりません。その実績を上げられたときと今とでは、前提となる社会状況・ルールが異なるのですから。

端的に述べると、これまでの実績は無価値です。「ウチでどんなことやりたい?」と振られて何も返せない人は、ヘタな実績に囚われて、これからについて心底真剣に向き合っていません。

当社は、また、当社の客は、当社の・あなたの過去の実績を買うのではなく、当社の・あなたの「これから」について買うかどうか検討するのです。

過去の輝かしい実績を捨て、虚心に「これから」に真摯に取り組まないと!


これから、なにをやるのか。

それを熱く、できれば具体的に。その裏付けとして過去を使えるのであれば使う。

これが必要です。


ここで一句。

実績は、提案無ければ、不燃ゴミ。



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